歯科医師国家試験合格後の未来設計は4つのフェイズに分けて考えると見えてくる
この記事を読んでいる多くの人は歯科医師国家試験合格を目指す歯学部学生さんか若手歯科医師の方で将来のことを真剣に考えている方だと思います。国家試験に合格後、歯科医師としての人生が始まりますが、これが35年以上続きますので、ぜひ充実したものにしてほしいと思います。そのためには、今何を準備し、何を選択し、何に力を注げばいいのでしょうか?この記事では歯科医師人生を設計する上でヒントとなる考え方の一例をご紹介します。それは歯科医師人生を4つのフェイズに分けて考えるという方法です。これを知ると人生計画が非常に立てやすくなります。今回は臨床で活躍することを目指す歯科医をモデルにして説明します。
臨床歯科医師人生の4つのフェイズ
フェイズ1:研修医時代
1年という短い期間ですが、実はこの時期が最も大切な基礎力養成期になります。この時期に歯科医としての基礎力をしっかり身に着けることが実は歯科医師人生の中でも一番重要です。マラソンでは最初の10キロで、駅伝なら一区で先頭集団が決まります。ここで遅れを取るとなかなか挽回するのが難しくなりますので大切にこの1年を過ごしてください。
フェイズ2:実力養成期
は20年間、指導医として多くの歯科医師を育成してきましたが、どの患者さんからも信頼されるような実力派の歯科医師に育てるのには最低5年間必要です。約5年間はじっくり我慢して実力を養ってください。厳しい国家試験を乗り越えたばかりなのに、また6年間も頑張らなければならないのか?と嫌になる人も多いでしょう。しかし歯科医師人生の本番はフェイズ3の35年間であることを忘れてはなりません。
ですからここで一番お伝えしたいことは「本当の実力をつけるための環境選びを間違えないでください」ということです。フェイズ1,2では目先のお金やおいしそうな条件を優先して選んではいけません。本当に実力をつけられる施設、医院を選ぶことが何よりも大切ということを肝に銘じてください。
フェイズ3:黄金の収穫期
フェイズ1、2で真の実力を養った人はこのフェイズ3の35年間で実力と経験を生かして大いに活躍してください。開業をするもよし、分院長も良し、副院長や高給勤務医になるのも良いでしょう。しかしこれもフェイズ1、2でつまずいた人には味わえない世界ですので、やはりフェイズ1,2が一番重要な時期と言えるでしょう。
フェイズ4:リタイヤ後
フェイズ1、2、3でしっかり頑張った人はフェイズ4では周りの人からも尊敬され、大切にされ、経済的にも悠々自適の状態になっているはずです。できれば後進の指導にも尽力していただき一人でも多くの良き歯科医師が世の中に増えるように貢献していただければ幸いです。
それでは、この4つのフェイズを意識しながら国家試験合格後、研修を経た皆さんが歩む具体的なステップについて見ていきましょう。
歯科医師国家試験合格後の第一歩
歯科医師国家試験に合格した後、最初に待っているのが歯科医師臨床研修です。日本では、2006年から歯科医師資格取得後に1年以上の臨床研修が義務付けられています。この研修は、歯科医師としての基礎的なスキルと知識を実際の診療現場で習得するための重要なステップです。
臨床研修施設の種類
臨床研修施設には主に以下の種類があります。
- 単独型臨床研修施設:1年間の研修を一つの施設で受けます。
- 管理型臨床研修施設:1年間~数か月、単独または複数の施設で研修を受けるなど施設によって自由にコース設定ができ、研修医はバリエーションにとんだ研修を選択できる。
- 協力型施設:管理型施設と連携し管理型所属の研修医を受け入れ特徴ある研修を行う施設
- 協力型2:管理型の教育を補うため短期間の研修を受け入れる施設(5日~)
研修後のキャリア選択肢
臨床研修を無事に修了すると、歯科医師として本格的にキャリアをスタートさせることができます。以下に、主要なキャリアパスを紹介します。
開業医としての道
開業医になるためには、以下のステップが必要です。
- 臨床経験の積み重ね:開業前に数年間の臨床経験を積むことで、技術と患者対応のスキルを向上させます。フェイズ1,2が大切です。しかし、単に経験を積むだけではだめです。エビデンスに基づいたスタンダードな治療法修得を幹とし、経験という枝葉を茂らせながら本当に自分のものにしてゆく過程が重要です。
- 経営スキルの習得:歯科医師としての技術だけでなく、経営やマーケティングの知識も重要です。それはその通りですが、知識だけでは使えません、勤務しながら自分の実績について数値管理をし、そこから考察して何故このような数値になるのか、どうすれば改善できるのか、実際やってみたらどのように数字が変わったか、というふうにPDCAを回す経験を積み、実績を思い通りにコントロールできる力をつけなければなりません。
- 開業資金の準備:開業には多額の資金が必要です。銀行からの融資や自己資金を準備しましょう。それから場所選び。自分のキャラクターや診療スタイルにあった地域を選ぶことも重要ですし、資金的にも無理は禁物です。甘い見通しでスタートすると身を滅ぼすことにもなりかねません。じっくりとリサーチし、慎重なシミュレーションを重ねながら準備を進めてください。
病院歯科や大学病院での勤務
病院や大学病院で勤務する道もあります。これには以下のメリットがあります:
- 安定した収入:開業と比べて収入が安定している。
- 専門性の追求:特定の分野での専門性を深めることができます。
特定の専門分野でのキャリア
歯科には多くの専門分野があります。例えば、矯正歯科、口腔外科、歯周病治療などです。特定の専門分野でキャリアを築くためには、以下のステップが必要です。
- 専門分野の研修:大学病院や専門クリニックで勤務しながら専門的な知識や技術を学びます。
- 学会認定資格の取得:各専門分野の学会が提供する認定資格を取得します。専門医機構によって認定されたいくつかの学会に所属し(日本歯周病学会など)、学会が認定する研修施設で実地研修を所定の期間継続して受け、学会の規定条件を満たせば認定医や専門医の資格取得申請ができる。所定の試験に合格すれば認定資格が取得できる。(詳しくは学会のホームページ参照)
研修医終了後の自己研鑽
研修を修了した後も、歯科医師としてのキャリアには様々な関門が待っています。以下に、その主なものと対策を紹介します。
技術の継続的な向上
歯科医療は日々進化しています。新しい治療技術や器具が次々と登場するため、継続的な学習が必要です。以下の方法で技術を向上させましょう。
- 継続教育プログラムへの参加:各種学会や団体が提供する継続教育プログラムに参加する。
- スタディクラブへの加入:同じ志を持つ歯科医師たちと情報交換や共同研究を行います。
- 継続的院内教育システムが整った歯科医院で勤務する:ほとんどの歯科医院では勤務しながら継続的に教育するシステムはありません。外部に勉強しに行くか、日常臨床の中で試行錯誤しながら技術向上を目指すのが一般的です。しかし、ごく少数ですが院内でシステマチックに教育をするシステムが整っている医院があります。カナザキ歯科もそういった教育をしている歯科医院です。
患者対応スキルの向上
歯科医師として成功するためには、技術だけでなく患者対応のスキルも重要です。患者の信頼を得るためには以下のことに注意しましょう。
- コミュニケーションスキルの向上:患者との対話を重視し、理解しやすい説明を心がけます。
- 患者満足度の向上:患者のニーズをしっかりと把握し、それに応じた対応を行います。
- 患者の身になって考える:もし自分が患者ならこうしてほしいと感じる治療を素直に行う
経営スキルの習得
特に開業を目指す場合、経営スキルが欠かせません。以下に注意すべきポイントの一部をご紹介します。実際にはこの他にもたくさんのスキルを必要とします。
- 財務管理:収支のバランスを保ち、適切な財務管理を行います。
- マーケティング戦略:効果的なマーケティング戦略を立てます。
- 人事管理:スタッフの確保、評価、給与体系の整備、福利厚生など多岐にわたる
- 数値管理:患者数、新患数、キャンセル率、リコール率、チェア稼働率、など様々な数値の動きを見て経営状況を把握し適切な施策を打つ
カナザキ歯科オリジナルの研修プログラム
カナザキ歯科では、研修医や若手歯科医師向けに特別な研修プログラムを提供しています。このプログラムは、以下の特徴を持っています。
院長によるマンツーマン指導とKANAZAKI塾
各研修歯科医師や若手歯科医師(フェーズ1,2に相当する歯科医)に院長自らマンツーマンで指導を行っています。これにより、個々のスキルやニーズに合わせた指導が可能です。またKANAZAKI塾という院長自ら開催する歯科医師のための参加自由な個別塾が毎日開催されています!
歯周病学会認定施設であり、幅広い診療科目の研修に対応
一般診療から専門的な治療まで、幅広い診療科目をカバーしています。特に、院長が日本歯周病学会の指導医であり、カナザキ歯科が日本歯周病学会より認定施設として承認を受けているため、カナザキ歯科で勤務することにより歯周病治療の専門医を目指すことができます。またカナザキ歯科では外部の歯科医師対象に歯周外科ベーシック、歯周外科アドバンス、インプラントコースが開催されており、スタッフはこれに無料参加できます。
最新の設備と技術・KANAZAKI‐100(カナザキ・ワンハンドレッド)
カナザキ歯科には、教育研究所という別棟がありその内部には自習用チェアが常設してあり、勤務時間内でも模型実習やマネキン実習ができるようになっています。この研究所にて最新の治療法を学ぶことができ、いつでも自己研鑽ができるシステムが整っています。また、KANAZAKI‐100という研修医から上級医までステップアップできる教育プログラムを用いて若手歯科医師の教育を進めています。
▼もっとカナザキ歯科での研修プログラムを知りたいならまず見学へ
キャリアパスの選択と長期的な目標設定
歯科医師としてのキャリアパスを選択する際には、短期的な目標と長期的な目標を明確に設定することが重要です。以下に、キャリアプランを立てるためのポイントを紹介します。
短期的な目標設定
短期的な目標としては、
将来の軸になる治療技術の習得:これは先に述べたフェイズ1,2に相当します。
認定資格の取得:歯周病学会やインプラント学会の認定医をできれば専門医も。
短期的目標はもちろん重要ですが、長期的目標をはっきりさせて逆算し、将来のために今やるべき短期目標を遂行するという考えが大切です。誰もが陥りやすいのは長期的目標を考えず、目の前に提示された高額の給料やおいしい条件に心を奪われ、大切な成長期の時間を有効に使わないことです。
長期的な目標設定
長期的な目標は先に述べたフェイズ3、4に相当します。なかなか簡単ではありませんが、こちらを先に考えることがポイントです。おすすめなのは大リーグの大谷選手のように曼荼羅チャートを書いてみることです。ぜひ試してください。
まとめ
歯科医師としてのキャリアは、多岐にわたります。今回ご紹介したモデルは臨床歯科医としてのものですが、ほかにも一例をあげれば若い女性向けのモデルもあります。例えば1年間基礎力+2年間実力養成、結婚出産のため育休、その後復帰。
数年間育休しても再開できる実力をフェイズ1,2でつけておいて復帰し、せっかくつけたスキルを活かす。など、その他にも様々なキャリアプランが考えられます。それぞれに魅力と挑戦があります。臨床研修を修了した後、自分の興味や目標に応じたキャリアパスを選択し、継続的に学び続けることが成功の鍵です。
カナザキ歯科のような充実した研修プログラムを利用しながら、自分自身の成長を続け、患者に最良の治療を提供できる歯科医師を目指してください。カナザキ歯科でも研修歯科医師、若手歯科医師を募集しています。
ぜひこの機会に見学会、体験会ご参加ください。